就労移行支援事業・放課後等デイサービス 2015年度事業報告書
12/20

11 しながら、調整を図りました。 11名については、希望職への応募までの絞り込みや、条件の検討についての支援、見学、体験を繰り返し行うことで、就労ミスマッチを最小限に防ぐ支援をしました。希望職の絞り込みがある程度できたあとは、就労コースへと移行し、企業検索や企業研究、面接ロールプレイングを徹底的に行うことで、面接や就労に対する不安感の解消を図るよう支援しました。 以下に、就労者2名についての職員所感を記します。 【Aさんの場合】 Aさんは、前職で周囲の方から障害特性に対して理解をしていただくことに苦戦し、結果孤立感を抱き退職をされていました。そのため、SSTのカリキュラムを取り入れ、コミュニケーション能力の向上を中心に支援をさせていただきました。事務系の就労を当時から目指していたこと、前職の孤立感から自信を喪失されていたことから、ご本人が得意とするPC作業の訓練を敢えて行い、資格を習得することで、「得意な作業」から「自信のある作業」へと変えることができました。 そうすることで、性格もネガティブ思考から少しずつポジティブ思考へとなり、周囲との関わりを徐々に取り戻すことができました。今回、就労につながった要因の中には、本来Aさんがもっていた魅力を再度ひき出すことができたことだと感じます。 【Bさんの場合】 Bさんは、日ごろから生活リズムの乱れが激しく、不眠・不調、朝起きられない等の理由により、毎日通所することはおろか、通所できても時間が一定していませんでした。就労に対しても、切迫した必要性を感じていなかったこともあり、なかなか改善への糸口がつかめずにいました。そこで、「時間厳守」よりも「毎日通所」することを優先して目指すこととし、個別に通所時間の変更を行い、若干通所率が上がったところから、企業実習を度々組み込んでいきました。2回目の実習を終えた頃には、次の実習への期待感が高まり、結果、半年で4回の実習(3回は同一企業)を経験し、最終的には実習先企業への就職へと繋がりました。同一企業で複数回の実習を行うことで、責任感と社会性の高揚が図られた好例と考えられます。 【定着支援について】 就労者には一定期間、簡便な日報の記入や電話での出勤・退勤の報告していただき、それによって心身の変化を確認するようにしています。また、会社のお休みの日や仕事の帰りなど、ご本人の都合のよいときに来所してもらい、職員と面談して問題解決をするようにしています。 さらに、定期的に修了生が集う日を設け、久しぶりに会う仲間とコミュニケーションでのリフレッシュや、互いの就労先での悩みを話し合いながら、終了後も仲間と切磋琢磨しあえる環境を提供しています。 Ⅴ.今後の課題 就労移行支援事業に関する隘路としては、利用者の訓練スキルの中で、職業能力よりも、むしろ生活や余暇等のソフト面でのスキルが問題となって就労の定着が困難になることが懸念されています。ソフト面のスキルでは、特にコミュニケーション能力をベースとしたライフスキル(生活面の力)の向上を図るための支援が必要であると痛感しています。その場合の支援には、グループワークや個別対応が必要だと考えられるところですが、時間割の組み方や、メンバー間のグループワークのやり方など、職員側のスキルアップが必要な部分もあります。 また、見学研修や職場体験の機会については、利用者の職業レディネスに応じてタイミングよく提供できるようにしてはいますが、参加者を募る広報をいかに効果的に行えるかが課題となっています。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です